高知地方裁判所 昭和41年(ヨ)129号 判決 1968年3月08日
申請人 阿部譲 外三二名
被申請人 株式会社高知放送
主文
被申請人は、申請人らに対し、別紙(一)賃金表中「認定額」欄記載の各金員を、それぞれ仮に支払え。
申請人らのその余の申請を却下する。
訴訟費用は、これを四分し、その一を申請人ら、その余を被申請人の各負担とする。
(注、無保証)
事実
第一当事者双方の求める裁判
申請人ら訴訟代理人は、「被申請人は、申請人らに対し、別紙賃金表(二)中「請求金額」欄記載の各金員を、それぞれ仮に支払え。申請費用は被申請人の負担とする。」との判決を求め、被申請人訴訟代理人は、「申請人らの申請を却下する。申請費用は申請人らの負担とする。」との判決を求めた。
第二申請の理由
一 当事者
被申請人は、テレビ・ラジオの放送事業を営む株式会社である。申請人らは、いずれも被申請人に雇用されて、被申請人の本社事業場に勤務している従業員であり、また、被申請人従業員をもつて組織されている高知放送労働組合(以下、単に組合という。)の組合員である。
二 組合と被申請人間の団体交渉および争議行為等の経過
1 組合は、昭和四一年二月一五日組合大会の決定にもとづき、同年春季の要求として、被申請人に対し、次の内容の要求事項を提出し、同年三月一日までにその回答を求めた。
(一) 一律六、〇〇〇円の基本給増額
(二) 年齢ごとに平均三、〇〇〇円の増額
(三) 現行の賃金体系を是正するため、平均一、〇〇〇円を当てること
(四) 諸要求については、すでに提出している各項目について継続的に交渉を進めること
2 これに対し、被申請人は、三月一日には回答をなさず、四月一日になつて、ようやく、平均三、〇〇〇円を増額する、但し、配分内容その他については今後の交渉によつて決める旨の回答(以下、第一次回答という。)をなした。しかし、組合は、右第一次回答を不満として、被申請人との間に、再三、団体交渉をもつたところ、被申請人は、四月一五日、平均三、三〇〇円を増額する旨回答(以下、第二次回答という。)をなすに至つたが、その配分内容は明示しなかつた。
3 そこで、組合は、被申請人に対し、更に基本給の増額を要求すると同時に、右第二次回答の配分内容を提示するよう申し入れて交渉を重ねたが、被申請人は、いたずらに組合の申入れをそらすばかりで、いつこうに配分内容を提示せず、同月三〇日になつて、ようやく、配分内容を、基本給増額分(平均)一、四五〇円、一律増額分一、〇五〇円および査定分八〇〇円(ただし、査定内容は、四〇〇円、六〇〇円、八〇〇円、一、〇〇〇円、一、二〇〇円と五段階に分ける。)とする旨回答した。そこで、組合は、被申請人に対し、被申請人が右査定内容をできる限り少なくすることに努力するならば、第二次回答を基礎として、交渉を進めてもよい旨申し入れたところ、被申請人がこれを了承しなかつたため、組合は、被申請人に対し、配分内容を含め、第二次回答を了解できない旨伝えて、同日、交渉は決裂するに至つた。
4 ところで、組合は、右交渉決裂に至るまでの間、組合大会ないし中央斗争委員会を開くに際し、その都度、組合員全員ないし斗争委員に対して、時限ストライキないし指名ストライキを指示し、これを実行させて来たが、これは、専ら放送労働者の勤務時間の変則性のために、やむを得ない手段としてとつた措置である。そして、組合は、五月に入つてからも、再三、被申請人に団体交渉を申し入れたが、被申請人は、五月一五日まで全く団体交渉に応ぜず、同日やつと、開かれた団体交渉において、被申請人は、先の配分内容を含む第二次回答は永久不変のものであり、これを組合が受け入れるというなら、以後、その説明のための団体交渉には応じるが、それ以外には、一切、団体交渉に応じない旨を表明したため、組合は、被申請人の右態度表明に対して、反省を求めると共に、切実な組合員の要求を貫徹するため、同月一六日から一九日までの間、営業管理部、テレビ進行部、テレビ技術部の組合員に対し、ストライキ人員にして五名ないし一五名をもつて前後一七回にわたる部分ストライキないし時限ストライキを指示し、これを実行させた。
5 ところが、被申請人は、五月二〇日午前五時、当時被申請人本社社屋(以下、単に社屋という。)内で勤務に従事し、または宿泊していた組合員二名を社屋外に退去させると同時に、社屋の正面玄関、通用門、社屋一階南側出入口、階段昇り口等数個所を閉鎖し、組合書記長である申請人宅宮望に対し、本社組合員の労務の受領を拒否する等記載した通告書を交付して、社屋から、申請人ら組合員を閉め出した。
三 ロツクアウトの不存在
被申請人は右二、5の申請人ら組合員に対する閉め出し行為をもつて、ロツクアウトを実施したと主張するが、一般に、使用者の争議行為として容認されうるロツクアウトは、労働者が賃金の喪失をかけてストライキその他の争議行為をなすのに対し、使用者が、その対抗手段として、文字通り、事業場を閉鎖して操業を中止し、利潤の喪失をかけて張り合うものである。然るに、被申請人は、右閉め出し行為後、当時の本社勤務の組合員八六名を除く、その他の非組合員四〇名および臨時従業員二〇名を、いずれも隣接する高知新聞社の通用門から社屋内に入場させ、これらを就労させて、平常通り放送事業を継続し、利潤をあげていたのであるから、右閉め出し行為が、一般に、ロツクアウトとして容認されうるものということは到底できないものである。即ち、右閉め出し行為は、被申請人が、申請人ら組合員の労務の提供を一方的に受領拒否したにすぎないものであつて、ロツクアウトとしては不存在のものというべきである。
四 仮に、右閉め出し行為が、一般的にロツクアウトとして容認されうるものとしても(以下、本件ロツクアウトという。)、それは、次のとおり違法なものである。
1 ロツクアウトは、労働者の争議行為に対する対抗的争議手段として、使用者に認められているものであるが、その成立については、ロツクアウトが労働者の争議行為に対抗的になされなければならないという正当性の要件とともに、ロツクアウトをせざるを得ないという必要性の要件が存しなければならないと解すべきである。たとえば、労働者のストライキが使用者にとつて一定の受忍義務の範囲を越える場合、企業または事業の存立ないし企業施設等の安全を危険におとし入れ、使用者に著しい損害を及ぼすような労働者の争議行為が現存する場合あるいは企業の存立の基盤を崩壊せしめるに至るような異常な損害を与える場合などに、初めて、ロツクアウトの成立が認められるのである。従つて、ロツクアウトが、対抗手段としての範囲を越えた場合、たとえば、部分ストライキに対抗して全面ロツクアウトを実施したような場合とか、ロツクアウトの必要性を欠く場合、たとえば、企業の存立に何ら影響がないのに、ロツクアウトを実施したような場合には、そのロツクアウトは、いわゆる先制的、攻撃的なものとして違法であり、あるいは、ロツクアウトが、対抗手段としての次元を逸脱して、それ以上のものである場合、たとえば、組合の組織破壊、団結否認を意図してなされたような場合には、そのロツクアウトはそれ自体で違法となるものである。そしてまた、ロツクアウトの成立に、右正当性および必要性を要するものとする以上、ロツクアウトの開始の時点においてのみその存否を問題とすべきではなく、たとえば、使用者が著しい損害を被る危険がなくなつた時には、ロツクアウトの必要性が失われたものとして、ロツクアウトの終期を認めるべきである。
2 本件ロツクアウトは、いわゆる先制的、攻撃的ロツクアウトであり、違法である。
(一) 本件ロツクアウト前において、組合が行なつた争議行為は、前記二、4のとおりであるが、それは、いずれも正当な争議行為に属するものであつて、被申請人の企業の存立に何ら脅威を与えるようなものでもなかつたのであり、また、被申請人は、前記三のとおり、本件ロツクアウト後、非組合員および臨時従業員を就労させて利潤をあげていたのであるから、結局、本件ロツクアウトは、正常な業務運営を回復し、企業利潤をあげているのであるから、ロツクアウトの正当性および必要性を欠くものであり、明らかに先制的・攻撃的なものである。
(二) また、組合が、営業管理部、テレビ進行部、テレビ技術部の三部門(以下、単に三部門という。)において行なつた部分ストライキないし時限ストライキは、その他の部門に対し、作業を停止させるなどの直接的な影響を与えるようなものではなかつたのであるから、被申請人としては、右三部門のみの部分ロツクアウトを実施すれば十分対抗しえたというべきであり、右のような部分ストライキないし時限ストライキに対抗してなされた本件全面ロツクアウトは、明らかに対抗手段としての範囲を越えたものであつて、先制的・攻撃的なものである。
3 また、本件ロツクアウトは、組合の団結を否認し、組合の組織破壊を意図してなされたものであるから、組合運営に対する支配介入であり、不当労働行為として違法である。
(一) 被申請人は、本件ロツクアウトを実施すると同時に、社屋内に設けられていた組合書記局の電話を通話不能にしたため、組合が、応急策として直通電話を架設しようとしたところ、被申請人は、架線工事に際しては社屋内に立ち入ることになるとの理由をもつて、電信電話公社職員の社屋内への立入りをも拒否し、組合の通信活動を故意に妨害した。
(二) 本件ロツクアウト直後、被申請人は、高知警察署に連絡をとつて、社屋周辺に私服警察官を導入し、更に、五月二一日には、非組合員をして、同署へ清酒五升を持たせてその労をねぎらうなどし、警察権力によつて、組合活動に有形無形の圧力を加えようと企図した。
(三) 本件ロツクアウトは、早朝、組合員の不在中をねらつて実施されたため、組合員のほとんどは、社屋内に、金銭、印鑑、衣服、その他の私物を残置しており、そのままでは、私生活に重大な影響を及ぼすので、被申請人に対し、直ちに、その引渡しを要求したところ、被申請人は、業務運行に支障を来たすなどの口実をもうけてこれに応ぜず、組合員個人に甚大な打撃を与えることにより、組合の団結力を弱化しようと企図した。
(四) 六月一日、一六名の組合員が脱退声明を発表して、組合を集団脱退するに至つたところ、被申請人の社長および総務局長は、右脱退者の集会にわざわざ出向き、君たちの言つていることはまさに会社の考えと一致する、まことに喜ばしいなどと激励して、組合分裂に拍車をかけた。
次いで、同月一四日一七名の組合脱退者が出てから、さんさんごごと脱退者が続いたが、それら脱退者の脱退は、被申請人が、相談役である溝淵高知県知事夫人を介し、組合員に対して個別的に脱退工作をなしたことによるものである。
しかも、被申請人は、脱退者に対しては、いずれも組合員の目前で、順次、社屋内通行証を交付して就労させ、露骨な組合破壊と団結否認の行為をなした。
(五) その間、組合は、同月七日組合大会を開いた結果、組合の春季要求については、被申請人の配分内容を含む第二次回答を受諾することに決定したため、同月一〇日本件ロツクアウト後初めて開かれた団体交渉において、被申請人に対し、右回答を受諾するので直ちに本件ロツクアウトを中止し、組合員全員を就労させるよう要求した。しかるに、被申請人は、本件ロツクアウトの正当性を容認すると共に、組合および組合員に対し、責任追及ないし処分がなされても、それを甘受するということであれば、本件ロツクアウトを中止するという態度を表明し、以後、組合の連日にわたる就労要求にもかかわらず、被申請人は、本件ロツクアウトの正当性の容認と責任追及ないし処分問題の点で争議は未解決であると主張して、八月一二日まで本件ロツクアウトを継続した。
4 仮に、本件ロツクアウトの開始が正当と認められるとしても、右3(五)のとおり、昭和四一年六月一〇日の団体交渉において、組合から被申請人に対し、春季要求については配分内容を含む第二次回答を全面的に受諾する旨を表明するとともに、直ちに就労させるよう申し入れているのであるから、本件ロツクアウトは、右日時以後、ロツクアウトの必要性が消滅したものというべきであり、違法である。
五 申請人らの賃金債権
1 本件ロツクアウトは、三および四の1ないし4で主張したとおり、不存在または違法なものであるところ、組合は、被申請人に対し、昭和四一年五月二一日以後連日、組合員全員の就労を要求している。
従つて、申請人らは、本件ロツクアウトが実施された同月二〇日以後、仮に、本件ロツクアウトの開始が正当としても、同年六月一〇日以後被申請人の責に帰すべき事由によつて、労務の受領を拒否されたものであり、民法第五三六条第二項にもとづき、被申請人に対し、同日以後の賃金請求権を有するものである。
2 そして、本件ロツクアウトが実施された昭和四一年五月二〇日から、解除された同年八月一二日までの間の申請人らの未払賃金は、別紙賃金表(二)中「請求金額」欄記載の金額のとおりであるが、その内訳は次のとおりである。即ち、同年六月一〇日の団体交渉において、組合は被申請人の配分内容を含む第二次回答を受諾しているので、賃金の改訂については、双方の合意が成立しているものというべきであり、従つて、争議の妥結月である同月一日以降本件ロツクアウト解除までの間の賃金は、改訂後の賃金額によるべきものである。そうすると、同年五月二〇日から同月三一日までの間は、月額である改訂前の基準内賃金額(基本給、家族手当、資格手当、主任手当、危険手当)にもとづいて賃金額を算出(別紙(二)中「B改訂前の請求金額」欄)することになり、同年六月一日から同年八月一二日までの間は、月額である改訂後の基準内賃金額にもとづいて賃金額を算出(別紙(二)中「D改訂後の請求金額」欄)することになるので、申請人らの各請求金額は、各申請人に対する別紙(二)中「B改訂前の請求金額」および「D改訂後の請求金額」の合計額(別紙賃金表(二)中「請求金額」欄)となるものである。
六 仮処分の必要性
申請人らは、被申請人を相手として、右未払賃金の支払いを求める本案訴訟を提起しようとしている。そして、申請人らは、いずれも、被申請人から支給される賃金を唯一の収入として生活している労働者であるが、本件ロツクアウト実施期間中の賃金の支払いを受けられないために、高知県労働金庫から組合が借り受けた二二八万円をもつて、その分割支給を受けることにより、生活を維持して来た。しかし、右借受金は、四回に分割して返済する約定になつており、その金利は、申請人らが支給分に応じて各自返済することになつているため、申請人らの生活は極度に苦しい状態にある。従つて、本案判決の確定をまつていたのでは、申請人らは著しい損害を被ることが明らかであるから、本件仮処分の必要性がある。
第三被申請人の答弁と主張
一 申請の理由一の当事者に関する事実は認める。
二 同二の事実について
1 1の事実中、組合が昭和四一年二月一五日被申請人に対し、組合大会決定にもとづく要求として、申請人ら主張内容の要求事項を提出し、三月一日までにその回答を求めたことは認める。
2 2および3の各事実について
組合と被申請人間の団体交渉等折衝の経過は次のとおりである。
二月二一日(団体交渉) 組合は、要求事項中、諸要求は昭和四〇年の春斗以後に要求したすべてのものであり、年齢平均三、〇〇〇円の要求については、後日資料を提出する旨説明。
三月一日(右同) 組合は、要求に対する被申請人の回答を請求。
被申請人は、二月二一日提出すると意思表明のあつた資料の提出を求め、三月二三日頃行なわれる予算会議の終了後でなければ、組合の要求を検討できないから、回答は同日以後になる旨説明。
同月八日(右同) 被申請人から資料の提出要求。
組合から回答請求。
同月二九日(右同) 被申請人は、四月一日を回答予定日にする旨答える。
四月一日(右同) 被申請人は、平均三、〇〇〇円を増額する旨回答(第一次回答)し、配分については、今後できるだけ早く提示する、支給は、妥結の月からとする、今後の経営計画上、業績の見通し、社屋の建築、UHFおよび住宅をはじめとして経費の増大が予想されるため、高額の昇給が不可能である旨説明。
同月二日(窓口交渉) 組合は、第一次回答を拒否。
同月八日(団体交渉) 組合の要求と被申請人の回答の原則論の点で論争。
同月一二日(右同) 被申請人は、第一次回答の配分案として、基本給増額分(平均)一、四五〇円、査定分八〇〇円、一律増額分七五〇円を回答。
同月一四日(右同) 早期妥結へのスケジユール確認。組合は、明一五日にでも妥結するよう努力したいとの態度を示す。
同月一五日(右同) 被申請人は、平均三、三〇〇円を増額する旨回答(第二次回答)。
同月一六日(右同) 組合は、第二次回答を拒否。
被申請人は、組合の第二次回答の拒否は、スケジユール交渉の約旨に反するとして抗議。
同月一九日(右同) 被申請人は、組合の第二次回答の拒否と一八日配布した文書に関連し、第二次回答の前と後における組合の態度の変化は信義に反するとして抗議。
同月二〇日(右同) 被申請人は、経営面上、三、三〇〇円以上の要求には応じられない旨説明。
同月二一日(右同) 被申請人は、基本給以外においても、組合要求には応じられない、ただし、諸要求については、三、三〇〇円内で配分するのであれば交渉に応ずる旨回答。
同月二三日(右同) 被申請人から第二次回答の了承を要望したが組合はこれを拒否。
同月二五日(右同) 被申請人は、組合の態度が不誠実である点を強調し、三、三〇〇円以上の要求には応じられない旨回答。
同月二六日(右同) 組合は、基本給以外に実質賃金の向上を要求。
同月二八日(右同) 被申請人は、組合の実質賃金向上の要求に対し、一時金一、五〇〇円の支給と食堂補助を実質的に行なう旨回答。組合は、第二次回答の配分内容の提示を要求。被申請人は、先に回答した三、〇〇〇円の配分案は変化していない、増額した三〇〇円の配分は組合と交渉したい旨回答。
同月二九日(右同) 組合は、第二次回答を金額、配分案ともに不満として拒否。
同月三〇日(右同) 組合は、第二次回答の金額は了解するとし、配分案について査定分を零にするように要求。被申請人は、査定をなくすことはできないとの態度を堅持し、最終譲歩として、昭和四〇年度同様、実質四〇〇円の査定にする案を提示したが、組合は二八分後にこれを拒否し、団体交渉は決裂。
五月七日 組合は、五月九日に早期妥結のための団体交渉を開くよう申入れ。被申請人はこれを拒否。
同月一一日 団体交渉再開のための事務折衝。
同月一四日(団体交渉) 双方とも四月三〇日の態度は変らず、再び決裂。
3 4の事実について
被申請人が本件ロツクアウトを実施するまでに組合のなした争議行為の態様は、別紙(三)「組合の争議行為」中「本件ロツクアウト前のストライキ」部分記載のとおりである。
4 5の事実中、五月二〇日午前五時被申請人が組合に対し、社屋の正面玄関、南側出入口を閉鎖して、本社勤務の組合員を閉め出したこと、その際、被申請人が、組合書記長に対し、通告書を交付したことはいずれも認める。
三 申請の理由三のロツクアウトの不存在について
申請の理由三の事実中、当時の本社勤務の組合員八六名を対象として、被申請人が閉め出し行為を実施し、非組合員を就労させて、テレビ・ラジオの放送業務を継続した点は認める。非組合員の出入は、高知広告センターの入口からなしたものである。ところで、労働争議は、労働市場を背景とし、経済力を露わにした交渉力の斗争であるから、労働協約に特別の定めがない限り、労働者がストライキまたはロツクアウト中に他から収入を得ることが何ら差し支えないのと同様に、使用者もまたストライキに参加している労働者またはロツクアウトされた労働者に代る代置労働者によつて操業を継続することは自由というべきである。そして、本件の場合、被申請人は、右閉め出し行為をもつてロツクアウトをなしたものであると主張するものであるが、組合と被申請人間には労働協約は存しないし、被申請人は、右閉め出し行為後においても、必要最小限度以下の人員をもつて辛うじて操業を継続して来たものであるから、被申請人の右閉め出し行為は、まさしくロツクアウトというべきであり、申請人らのロツクアウト不存在の主張は全く理由のないものである。
四 申請の理由四の各事実について
1 申請の理由四の2の各事実は、全て争う。
元来、使用者の実施するロツクアウトは、労働法上容認されうる争議行為であつて、その本来的な効果は、対象労働者を事業場から閉め出すとともに、対象労働者に対する賃金の支払義務を免れさせるところにあるものである。そして、ロツクアウトは、労使間に争議状態が存在する限り、労働者のストライキ実施前においても、実施しうるものであつて、必ずしも、受動的・防衛的でなければならないものではないと解すべきであるが、仮に、ロツクアウトが受動的・防衛的でなければならないとしても、労働組合による争議行為が現に行なわれているか、または行なわれるおそれがある場合に実施されたロツクアウトは、受動的・防衛的なものとして、正当性を有するものと解すべきである。また、部分ストライキ、指名ストライキ等が労働組合の意思決定にもとづき、労働組合の争議戦術としてなされている場合には、使用者は、当該労働組合の全組合員を対象として、ロツクアウトを正当に実施しうるものと解すべきである。
そして、本件の場合、二3において主張したとおり、組合は、四月一一日から五月一九日までの間に、争議行為として、計六五波にわたり、漸次無通告ないし事後通告を主体とする全面ストライキ、部分ストライキ、指名ストライキおよび短時間反復時限ストライキ(以下、これをミニストという。)を実施して来た。ここにミニストとは、テレビ技術、テレビ進行の業務に従事する労働者が、組合の指名ストライキの指令にもとづき、テレビ番組の切換時に行なわれるコマーシヤル時間(四五秒から九〇秒間)に、無通告または極めて接近した時間で通告することによつて、職場放棄をなすものであり、これは反復して行なわれるのが特徴であるが、組合としては、極めて少数の組合員をミニストに参加させることによつて、喪失する賃金を少額にとどめ、被申請人に対しては、多大の損害を与えるという効果をねらつてなすのである。そして、ミニストが実施されると、被申請人は、通常、非組合員による職場代置をなし得ないため、その時間に放送を予定されていた商業広告を放送できないことになり、従つて、当該スポンサーの提供番組全部につき、その商品価値を喪失させることになる結果、スポンサーに対し、広告料の支払を請求し得なくなつたり、一回の放送中断による損害を補う意味で、事後数回の放送を無料で提供しなければならなくなるので、ミニストが無通告で、断続的にかつ長期に行なわれると、被申請人は、非組合員である職制の肉体的疲労を増大させ、遂には、放送を停止することになつて、企業存立の基盤そのものが崩壊するに至るような異常な損害を被るものである。
ところで、組合は、右のようなミニストを五月一七日から実施したが、それらは、いずれも事後通告で断続的になされており、また、被申請人が、昭和四〇年度春季争議と比較検討した結果、組合は、被申請人の職制の疲労度が高くなつて来る五月中旬まで争議回数を少なくして、計画的に戦力を温存して来ていることが推測されたため、被申請人は、組合が、今後更に、右事後通告、断続的なミニストに加えて、昭和四〇年度の争議戦術として実施したステーシヨンブレーク業務を拒否するいわゆるセツテイングストライキを実施するであろうと予測するに至つた。右セツテイングストライキが実施されると、セツテイング業務が複雑で総合的に行なわれているため、被申請人としては、ストライキ時間とストライキ行為者の氏名の把握が不明確となり、賃金カツトが不可能となるのである。そこで、被申請人は、このような事態においては、テレビ・ラジオの放送事業という公共的、計画的業務の運営に著しい打撃と異常な損害を受けるばかりでなく、企業存立の基盤も危殆に瀕することになると判断し、企業防衛の必要上から、やむをえず、本件ロツクアウトを実施するに至つたものである。従つて、本件ロツクアウトは、先制的・攻撃的でないばかりでなく、まさしく、受動的、防衛的であるというべきであつて、全く正当なものというべきものである。
2 (一) 申請の理由四の3(一)の事実中、被申請人が、本件ロツクアウト後、組合書記局の電話の取次を拒んだことおよび社屋内における新規電話架線工事を拒否したことは、いずれも認めるが、その余は争う。争議中である以上、右の点について被申請人が組合に協力すべき義務は何らないはずである。
(二) 同(二)の事実は争う。
(三) 同(三)の事実は争う。被申請人は、本件ロツクアウト後必要最小限度以下の人員をもつて、辛うじて放送業務を継続して来ていたため、個々の組合員に対する私物の引渡しは業務の運行に支障を来たすものと判断し、組合に対し、所有者氏名、所属部、物品名、数量、保管場所を記載した私物の目録を一括して提出すれば、組合員一名の立会のもとに、これを引渡す旨回答した。従つて、私物の引渡しを拒絶したことはない。
(四) 同(四)の事実は争う。六月二日組合を脱退した従業員の代表者から会社の考え方を聞かせてほしい旨申入れを受けたので、被申請人としては、これらの者と話合い、十数日の待機期間を経てこれらの者を就労させたのであつて、組合員に脱退工作をしたり、組合の分裂を策したことはない。
(五) 同(五)の事実中、被申請人が本件ロツクアウトを八月一二日まで継続した点は認めるが、その余は争う。組合は、六月一〇日の団体交渉において、被申請人の配分内容を含む第二次回答を了解すると称したが、右了解の範囲は、組合の要求事項のうち諸要求を除く三項目にとどまり、諸要求については、これを了解せず、その後も争議行為を継続していたので、被申請人は、右争議行為に対抗して本件ロツクアウトを継続したものである。従つて、本件ロツクアウトは、何ら不当労働行為に該当するものではない。
3 申請の理由四の4の事実は争う。
正当に開始されたロツクアウトは、労働組合の争議行為が行なわれるおそれが全くなくなるまでは、適法に継続することができるものと解すべきであるところ、組合は、別紙(三)「組合の争議行為」中「本件ロツクアウト後のストライキ」部分記載のとおり、本件ロツクアウト後も、争議行為を実施しており、六月一〇日以後においても、被申請人と組合との間に、諸要求の解決および協定書案の文言の解釈をめぐつて種々折衝がなされて来たので、組合側に争議行為を行なうおそれが全くなくなつたものとは認められず、従つて、本件ロツクアウトは適法に継続されたものというべきである。
五 申請の理由五の賃金債権について
1 1の事実は争う。
2 2の事実は争う。申請人らの昭和四一年七月二五日現在、即ち、申請人ら主張の改訂前の基準内賃金額に相当する各賃金額は、別紙(二)中「被申請人主張金額」欄記載のとおりである。
第四疎明<省略>
理由
第一当事者
被申請人がテレビ・ラジオの放送事業を営む株式会社であること、および申請人らが、いずれも被申請人に雇用されて被申請人の本社事業場に勤務している従業員であり、被申請人従業員をもつて組織されている高知放送労働組合の組合員であることはいずれも当事者間に争いがない。
第二組合と被申請人間の団体交渉および争議行為等の経過の概要
一 争いのない事実
組合が昭和四一年二月一五日被申請人に対し、組合大会決定にもとづく要求として、申請人ら主張の内容の要求事項を提出し、三月一日までにその回答を求めたこと、被申請人が同日には回答をなさず、四月一日に第一次回答をなしたこと、組合が第一次回答を拒否し、団体交渉がなされた結果、被申請人は、同月一五日に第二次回答をなし、同月三〇日にその配分案を提示したことおよび同日組合と被申請人間の団体交渉が決裂したことはいずれも当事者間に争いがない。
二 団体交渉等の経過
いずれも成立に争いがない甲第一、二号証、乙第四、五号証、第七号証の一、二および第八号証に証人三谷登の証言ならびに申請人茂松延章、同宅宮望の各本人尋問の結果を総合し、弁論の全趣旨を合わせ考えれば、組合と被申請人間の団体交渉等折衝の経過は次のとおりと認められ、他に右認定を覆えすに足りる疎明はない。
二月二一日 被申請人主張のとおり。ただし、「組合は、現行賃金体系を是正するための平均一、〇〇〇円の要求についても、後日資料を提出する旨説明」と付加する。
三月一日 被申請人主張のとおり。ただし、会議および時期について、「被申請人は、予算会議のほかに営業会議も開かれ、それらは、いずれも三月末日ごろ行なわれる旨説明」と変更する。
同月八日 被申請人主張のとおり。ただし、「三月八日か一二日ごろに組合から資料が提出された」と付加する。
同月二九日 被申請人主張のとおり。
四月一日 右同。ただし、「被申請人は、三、〇〇〇円を基本給に充当したい旨説明し、組合は、第一次回答の配分内容の提示を求めた」と付加する。
同月二日 被申請人主張のとおり。
同月八日 右同。
同月一二日 右同。
同月一四日 右同。ただし、「組合は、第二次回答を要求」と付加する。
同月一五日 被申請人主張のとおり。
同月一六日 右同。
同月一九日 右同。
同月二一日 右同。
同月二三日 右同。
同月二五日 右同。
同月二六日 組合は、諸要求の中で、幅広く解決策が見出せないかと要求。被申請人は、三、三〇〇円の第二次回答中には、諸要求中、実質賃金に換算できるものが考慮されている旨回答。
同月二八日 被申請人主張のとおり。ただし、「被申請人は、一時金一、五〇〇円はレクリエーシヨン費用をもつてあてる旨説明」と付加する。
同月二九日 被申請人主張のとおり。
同月三〇日 被申請人は、第一次回答に増額した三〇〇円は、先に回答した配分案中一率増額分に入れる、査定分八〇〇円については、査定内容を最低が二〇〇円、最高が一、四〇〇円の五段階とする旨回答。組合は、被申請人が、右査定内容を零に近づけるよう努力するなら、第二次回答の金額を検討することとして交渉を進めてもよい旨申入れ。そこで、被申請人は、査定をなくすことはできないとしつつ、最終譲歩として、査定内容を四〇〇円、六〇〇円、八〇〇円、一、〇〇〇円、一、二〇〇円の五段階とする案を提示。組合は、二八分後に右提示案を拒否し、団体交渉は決裂。
五月七日 被申請人主張のとおり。
同月一一、二日ごろ 右同。
同月一四日 右同。ただし、「被申請人は、配分内容を含む第二次回答は被申請人の最終的態度であるから、その説明のための団体交渉には応ずるが、それ以外の団体交渉には応じられない旨意思を表明」と付加する。
三 組合のなした争議行為の態様
いずれも成立に争いがない乙第九ないし第七五号証、第一二八号証の一、二、第一三〇号証および第一三一号証に、証人三谷登の証言ならびに申請人茂松延章、同宅宮望(ただし、後記信用しない部分を除く。)、同中山卓也、同中島捷の各本人尋問の結果を総合し、弁論の全趣旨を合わせ考えれば、被申請人が、五月二〇日申請人ら組合員を本社事業場から閉め出すに至るまでに、組合のなした争議行為の態様は、別紙(三)「組合の争議行為」中「本件ロツクアウト前のストライキ」部分記載のとおりであること、そして、五月一六日以降、組合は、三部門が、被申請人のテレビ放送業務を扱う中心部門であつて、最も重要な職場であるところから、同部門に争議行為の焦点を合わせれば、最も効果的であると判断して、同部門に勤務する約三〇名の組合員を中心として、重点的に指名、部分ストライキを実施させ、これを強化することにしたこと、右三部門に実施されたストライキは、事前通告、同時通告、あるいは事後通告によつてなされたものであつて、主として、効果的なコマーシヤルおよびローカルニユース番組の放送時間帯をねらつたものであること、組合と被申請人間には、ストライキ通告について、労働協約等何らの定めがなく、組合が、従前において大体事前通告をなして来た事実は一応認められるが、例外の事例もあり、ストライキの事前通告が組合と被申請人間の労働慣行となつていたものとは必ずしも認められないこと、組合は、代替要員があらかじめ待機している場合には、右三部門にストライキを実施しても放送業務の運行にほとんど支障を与えることがないと判断していたので、五月一七日以後、三部門に対し、指名、部分ストライキを強化することによつて、代替要員である職制や非組合員に早朝から深夜まで待機することを余儀なくさせ、長時間の待機に困つた代替要員から、被申請人に対し、早期解決を要望させるようにして、組合の要求を更に有利な形で実現しようと企図したこと、以上の各事実が認められ、申請人宅宮望本人尋問の結果中右認定に反する部分は、前掲の各証拠と対比して措信できず、他に右認定を覆えすに足りる疎明はない。
第三申請人らの賃金請求権の存否
一 ロツクアウトの存否
1 被申請人が、五月二〇日午前五時、組合に対し、社屋の正面玄関、南側出入口を閉鎖し、組合書記長に本社組合員の労務の受領を拒否する等記載した通告書を交付して、本社事業場勤務の組合員を閉め出したことは当事者間に争いがない。
2 そして、いずれも成立に争いがない甲第四号証、乙第七五号証、第七七号証および証人三谷登の証言によつて真正に成立したものと認められる乙第七八号証に同証人の証言ならびに申請人茂松延章、同宅宮望の各本人尋問の結果を総合すれば、被申請人は、前記日時頃、社屋正面玄関横の壁および南側壁に、それぞれ、本社組合員の労務の受領を拒否する旨の内容の公示紙を貼り出したこと、右閉め出し行為の後、被申請人は、非組合員七〇名位を従事させて放送業務を継続したが、これら非組合員に対しては、出入口を高知広告センターの入口と指示し、いずれも通行証を持たせて、同入口から社屋内に入場させたことならびに、右閉め出し行為の時点には、社屋内に組合員が二名いたが、被申請人は、右組合員らにロツクアウトを実施する旨伝えて社屋外に退去させたこと、以上の各事実が認められ、他に右認定に反する疎明はない。
3 ところで、申請人らは、被申請人が右閉め出し行為の後、非組合員を就労させて放送業務を継続したことをもつて、右閉め出し行為は、ロツクアウトとして容認されえないものであると主張し、被申請人は、右行為は、ロツクアウトをなしたものである旨主張するので、まずロツクアウトの存否について検討する。
一般に、ロツクアウトは、使用者が労働者の争議行為に対抗するための手段として、労働者の労務の受領を集団的に拒否することを本質とする争議行為であつて、これは、労使関係における対等の原則ないし、衝平の理念から容認されるものと解すべきものである。そして、使用者がロツクアウトを実施した場合、ロツクアウトが対象労働者の労務の受領を拒否することを内容とする結果、その限度で操業の停止が生ずることのあるのは当然としても、対象労働者以外の労働者で労務の提供をなす者がある場合に、その提供される労務によつて操業を継続することは、前示のロツクアウトの本質と何ら矛盾するものではないから、労働協約などに特別の定めがあるかまたは不当労働行為に該当する場合でない限り、本来使用者の自由に委ねられているものというべきである。従つて、被申請人が右閉め出し行為後非組合員を就労させて放送業務を継続したことは、右閉め出し行為をロツクアウトとして容認するに何ら妨げとなるものではない。そして、ロツクアウトが成立するためには、必ずしも労働者を事業場から閉め出す行為を必要とするものではなく、労働者に対する労務の受領拒否の通告で足りると解するを相当とするところ、本件の場合、被申請人は、申請人らを含む本社事業場勤務の組合員全員の労務の受領を拒否する旨通告をなしているばかりでなく、組合員の現実の閉め出しをもなしているのであるから、右閉め出し行為は、争議行為としてのロツクアウトに該当するものと認めるのが相当である。
申請人らのロツクアウト不存在の主張は採用することができない。
二 ロツクアウトの違法性の有無
1 申請人らは、ロツクアウトが成立するためには、ロツクアウトが労働者の争議行為に対して対抗的にされるという正当性の要件とともに、ロツクアウトを実施しなければならないという必要性の要件が存しなければならないのに、本件ロツクアウトは、被申請人が、もつぱら、正常な業務運営を回復し、企業利潤をあげる目的のためになしたものであつて、右正当性および必要性の各要件を欠く先制的、攻撃的ロツクアウトというべきであるから、違法である旨主張する。
しかし、ロツクアウトは前示のような本質を有するものであるから、労働組合との間に争議状態が現存し、かつ、労働者の争議行為が発生し、または、発生のおそれがある場合には、使用者は、適法にロツクアウトをなしうるものと解するのを相当とする。そして、本件の場合、組合と被申請人間に争議状態が現存し、組合が争議行為として、四月一一日から五月一九日までの間ストライキを実施して来たことは前認定のとおりであるから、被申請人のなした本件ロツクアウトは適法なものであると認めるのが相当であり、申請人らの右主張は採用することができない。
2 次に、申請人らは、労働者の部分ストライキに対抗してなされる全面ロツクアウトは、ロツクアウトの正当性の要件を欠くものというべきところ、本件ロツクアウトは、組合が三部門において実施した部分ストライキに対抗してなされた全面ロツクアウトであるから、対抗手段としての範囲を越えたものであり、先制的、攻撃的ロツクアウトというべきであつて、違法である旨主張する。
元来、部分ストライキは、労働組合が争議行為として、計画的にその一部の組合員のみをストライキに参加させるものであつて、通常、一方では、ストライキによる賃金の喪失を最小限度にとどめ、他方、生産上あるいは経営上重要な部門をねらつて、そこにストライキを実施することによつて、使用者の操業能率や生産成績あるいは企業経営に対し、可及的に大きな支障を生ぜしめることを目的とするものと考えられる。そして、このような目的態様をもつてなされる部分ストライキは、それ自体、労働者の争議行為として正当性を有するものと解すべきであるところ、使用者が、これに対抗してロツクアウトを実施する場合には、部分ストライキが右のような目的態様を有するものであることに鑑み、労使関係における対等の原則ないし衡平の理念から、原則として、当該組合員全部を対象としてロツクアウトを実施することが許されるものと解すべきである。そして、本件の場合、組合は、五月一六日以降、組合の要求を実現するための最も効果的な争議戦術として、三部門において、重点的に指名、部分ストライキを実施したこと前認定のとおりであるから、組合のなした右指名、部分ストライキは、前示のような目的態様を具備していたものと認めるのが相当であり、被申請人が、三部門を含む同一事業場である本社事業場に勤務する組合員全部を対象として実施した本件ロツクアウトは、右指名、部分ストライキに対抗してなされたことが明らかであるから、他に特段の事情につき主張、立証のない本件においては、右ロツクアウトは正当性を有するものというべきであり、従つて、申請人らの右主張は採用することができないものといわなければならない。
3 更に、申請人らは、本件ロツクアウトが組合の団結を否認し、組合の組織破壊を意図してなされた組合運営に対する支配介入行為であつて、不当労働行為に該当する違法のものである旨主張するので、以下申請人ら主張の各点につき順次検討する。
(一) 電話架線工事を拒否した点
被申請人が、本件ロツクアウトを実施後、組合書記局への電話の取次および社屋内における新規電話架線工事を拒否したことはいずれも当事者間に争いがなく、申請人茂松延章の本人尋問の結果によれば、被申請人が右電話架線工事を拒否した理由は、社屋の架線を利用することになるということにあつたものであり、更に、被申請人は、架線工事のため、社屋にふれたり、社屋の一部に穴をあけたりすることも一切拒んだことが認められ右認定に反する疎明はない。そして、右認定事実中、被申請人が架線工事のため社屋の一部に触れることまで拒否した点は、行き過ぎであるとしても、前記認定事実によると、未だ、被申請人が組合の通信活動を妨害する意図をもつて右電話の取次および社屋内における新規電話架線工事を拒否したものとは到底認められず、他にこれを認めるに足りる疎明はない。かえつて、証人楠島正堂の証言によれば、本件ロツクアウト後、組合は、書記局に通ずる右社内電話を利用して、たびたび抗議を申し入れて来たため、被申請人は、このままでは業務運営に支障を来たすものとして、右電話の取次を拒否したことが認められるので、右電話取次の拒否は、組合の活動を妨害する意図に出たものではないと認めるのを相当とする。
(二) 高知警察署に清酒を持参した点
証人楠島正堂の証言および申請人茂松延章の本人尋問の結果に弁論の全趣旨を合わせ考えれば、本件ロツクアウト後、組合員が就労要求のため高知広告センター入口附近に行つた際、同所附近に、何名かの私服の警察官が配置されているのが見受けられたこと、および五月二二、三日ごろ、被申請人の意を受けて非組合員二名が清酒五升を持参して高知警察署に届けたが受領を拒否されたことが認められる。しかし、右清酒は、五月二〇日午前九時ごろ、同警察署から、本件ロツクアウトの公示紙がはがれている旨の連絡を受けたため、それに対する謝礼の趣旨で持参させたものであり、また、被申請人社屋は、同警察署から約五〇メートルの距離にあるため、本件ロツクアウト後、社屋前に組合員が集まつておれば、同警察署の警察官には容易に気付きうる状況にあつたことも認められるので、右認定の私服警察官が高知広告センター入口附近にいたことおよび被申請人が清酒を持参させたとの事実から、直ちに、被申請人が警察権力を利用して組合活動に有形無形の圧力を加えようとしたものとは到底認められず、他に申請人らの主張を認めるに足りる疎明は存しない。
(三) 私物の引渡拒否の点
いずれも成立に争いがない甲第四号証、乙第一〇九号証に証人三谷登、同楠島正堂の各証言ならびに申請人茂松延章の本人尋問の結果を総合すれば、組合から被申請人に対し、組合員の私物を引渡すよう要求がなされたこと、これに対し、被申請人は、五月二一日付書面をもつて、ロツクアウト実施直後であつて、必要最小限度以下の人員で放送業務を継続しているため、個々の組合員の私物引渡し要求には、業務の運行に支障を来たし応ずることができないが、所有者の氏名、所属部、物品名、数量、保管場所を記載した目録を一括して提出すれば、組合員一名の立会いのもとに、私物の引渡しに応ずる旨回答したことが認められ、右認定に反する疎明はない。右認定事実によれば、被申請人は、もつぱら業務運行に支障を生じさせないようにとの配慮から組合員の私物引渡の方法を提示したものと認められ、また、私物の引渡しを全く拒否したものでないことが明らかであるから、被申請人が、組合の団結力を弱化しようと企図したものと認めることは相当でなく、他に申請人らの主張を認めるに足りる疎明はない。
(四) 組合脱退者に関する点
いずれも申請人茂松延章の本人尋問の結果により真正に成立したものと認められる甲第一〇号証、第一一号証の一に、証人楠島正堂の証言、申請人茂松延章(ただし、後記信用しない部分を除く。)、同宅宮望の各本人尋問の結果を総合すれば、六月一、二日の両日に、計一六名の組合員が脱退声明を発表して組合を集団脱退したこと、同月二日被申請人は、右脱退者の代表者から、就労の問題等を含め、被申請人の考えを聞かせてほしい旨の申入れを受けたので、堅田社長と中平常務取締役が、高知市内松島旅館に赴いて、脱退者と話し合い、自宅待機を命じたことおよびその際社長が脱退声明がよく書けている旨ほめたことが認められ、申請人茂松延章の本人尋問の結果中右認定に反する部分は前掲の各疎明に照らし信用できず、他に右認定を覆えすに足りる疎明はない。しかし、右認定事実によつては、被申請人が組合の組織破壊を意図してなしたものとは到底認められず、他に申請人らの主張を認めるに足りる疎明はない。また、申請人茂松延章、同宅宮望の各本人尋問の結果には、被申請人の意を受けた組合員が組合脱退を勧誘したとの供述があるが、右各供述部分は、たやすく信用できず、他に、溝淵高知県知事夫人その他被申請人の意を受けた者が組合員に対し、脱退工作をした事実を認めるに足りる疎明はない。更に、申請人宅宮望の本人尋問の結果によれば、被申請人が脱退者に対し、組合員の目前で順次社屋通行証を交付して就労させた事実が認められ、右認定に反する疎明は存しないが、ロツクアウト実施中の使用者に操業の自由があること前示のとおりであるから、右認定事実のみをもつて、直ちに、被申請人が組合破壊と団結否認の行為をなしたものとは到底認められず、他に申請人らの主張を認めるに足りる疎明はない。
(五) ロツクアウト継続の点
被申請人が本件ロツクアウトを八月一二日まで継続したことは当事者間に争いがなく、いずれも成立に争いがない甲第九号証、第一三号証の一、二、第一五号証、第一七号証(ただし、タイプ印刷の部分のみ。)、第一八号証、乙第八一ないし第八四号証、第八五号証の一ないし四、第八六号証、第八九号証、第一〇八号証、第一三二号証、前掲甲第一〇号証および第一一号証の一に証人楠島正堂、同上野巌の各証言(ただし、いずれも後記信用しない部分を除く。)、申請人宅宮望(ただし、後記信用しない部分を除く。)、同茂松延章の各本人尋問の結果を総合し、弁論の全趣旨を合わせ考えれば、六月一、二日の両日に多数の集団脱退者が出たことは組合にとつて組織上の大きな問題となつたこと、そのため、組合は、幅広い解決策を求めることにし、同月七日組合大会を開いて全員による無記名投票を行なつた結果、組合の春季要求については、諸要求を含め、被申請人の四月三〇日にした配分内容を含む第二次回答を全面的に了解することに決定した(前認定のとおり、被申請人は四月二六日の団体交渉において、第二次回答には、諸要求中実質賃金に換算できるものが考慮されている旨回答している。)こと、そして、同月一〇日本件ロツクアウト後初めて開かれた団体交渉において、組合は、右大会決定の趣旨に従つて、労働時間小委員会で継続審議に付されている事項を除き、諸要求を含めて、被申請人の四月三〇日にした配分内容を含む第二次回答を全部了解するから本件ロツクアウトを中止してほしい旨被申請人に要求したこと、右団体交渉が開かれるに際しては、事前に、もと組合執行委員長をしたことのある申請外上野巌と他二名が、組合の幅広い解決策を求めるとの意向に沿つて被申請人の福田会長と面談しており、組合の六月七日の大会決定の内容を伝えていたため、同会長は、組合が、六月一〇日の団体交渉には全面降伏ということで臨むものと判断するに至つていたこと、被申請人の団体交渉担当者は、福田会長の右判断にもとづいて、団体交渉に先立ち協定書案を準備し、これを右団体交渉の席上、組合に提示したが、組合は、被申請人から右協定書案が提示されることは全く予想していなかつたこと、右協定書案は、同案中、「組合は五月二〇日の会社のロツクアウト通告を容認し、且つ無条件で今次争議を終結する」との文言を除き、その余の部分については、組合の意向と一致するものであつたが、右文言部分の意味内容につき、被申請人が、本件ロツクアウトは正当であつて、組合のなした争議行為は不当であり、組合員が解雇されても何ら文句を言わないということである旨説明したため、組合としては、到底右協定書案どおりの意味内容では、これを了解することができないと回答するに至つたこと、そして、その後、組合と被申請人間で右文言の解釈取扱を中心として、種々の形で折衝が続けられたが、右のほか、中村支局勤務の組合員一名が六月二一日まで指名ストライキを実施していたため、被申請人が、これをもつて本件ロツクアウトの継続の理由となる旨主張し、組合が六月一五日に夏期一時金要求として、提出した文書中に、六月一〇日の団体交渉において了解したという諸要求中の一部が記載されていたことから、被申請人が諸要求の解決が未了である旨主張したため、了解事項の詳細につき更に折衝が重ねられたり、組合員全員の就労をめぐつての折衝が行なわれたりしたこと、そして、八月一二日組合と被申請人間に協定書の文言内容等につき見解の一致を見るに至つたため、調印妥結となり、被申請人は同日本件ロツクアウトを中止したこと、以上の各事実が認められ、証人楠島正堂、同上野巌の各証言および申請人宅宮望の本人尋問の結果中右認定に反する部分は前掲の各疎明と対比して信用できず、他に右認定を覆えすに足りる疎明はない。
しかしながら、右認定事実を総合しても、未だ、被申請人が本件ロツクアウトを継続したことが、組合の団結否認ないし組合の組織破壊の企図に出たものとは到底認められないし、他に本件ロツクアウトの継続が不当労働行為となる事実を認めるに足りる疎明は存しない。
4 そうすると、本件ロツクアウトには、申請人ら主張のような違法となるべき点は何ら存しないものであるから、ロツクアウトとして適法なものであると認めるのが相当である。
三 賃金支払義務の免責の有無
1 本件ロツクアウトは、右二において判示したとおり、正当性を有するものである。
しかしながら、使用者がロツクアウトをした結果、賃金の支払義務を免れうるかどうかは、一般私法の原則に従つて、当該ロツクアウトに出たことが民法第五三六条第二項の「債権者の責に帰すべき事由」に該当するか否かによつて決すべきものと解するのが相当である。
すなわち、ロツクアウトは、前示のような本質を有するものとして、労使関係における対等の原則ないし衡平の理念から容認されるものと解すべきであるが、ロツクアウトが使用者に対する民事上の責任を免れしめるものとして容認されるという点については現行法規上何ら明文の根拠を見出しえない。この点、労働関係調整法第七条は、同法の適用関係における調整の対象として、作業所閉鎖(ロツクアウト)を掲げたものと解すべきであるから、同法条をもつて、ロツクアウトを民事上免責を受けられる使用者の争議行為として容認したものと解することはできない。また、労使関係における実質的対等の原則ないし衡平の理念から、ロツクアウトを労働者の争議権に対抗する使用者の権利として民事上の免責を認め、あるいはロツクアウトの権利性を否定しながらも、その本質ないし効果としてこれに民事上の免責を容認しようとする立場がある。しかし、労働者の争議行為については、憲法および労働法において権利としてこれを認めるのみならず、民事および刑事上の免責規定を設けてこれを保障しているのに反し、使用者の争議行為については、憲法および労働法上何らの保障規定も存しないのであるから、労使関係における対等の原則ないし衡平の理念を実質的に考慮すべきものとしても、それから、直ちに、使用者の争議行為の権利性を容認して民事上の免責を認めたり、あるいはロツクアウトの本質ないし効果として、民事上の免責を容認することが、法の精神に合致するものとは、到底解することができない。従つて、使用者のなすロツクアウトには、前示の本質から認められる効果(たとえば、ロツクアウトが実施されると対象労働者は使用者の意思に反して事業場にとどまることができなくなるので、使用者は、ロツクアウトを理由として、対象労働者を事業場から排除できるものと解される。)以上の効果(たとえば民事刑事上の免責等)を認めることはできないものというべきであり、このようなロツクアウトが、民法第五三六条第二項の「債権者の責に帰すべき事由」に当らない労務の不受領であるとも認め難いので、結局、具体的事案において、同条項の規定その他一般私法の原則に従つて、使用者の賃金支払義務の有無を決すべきものであると解するのが相当である。そうすると、たとえば、ロツクアウトが緊急避難行為に該当し、その他必要やむをえない事由があるときには、使用者の責に帰すべからざる事由による労務の不受領と解すべきであるから、労働組合が使用者に著しい損害を及ぼすような争議行為に出ている場合あるいはそのような争議行為に出ることが明白である場合等争議行為によつて発生しまたは発生するおそれのある著しい損害から企業を防衛する必要上緊急やむをえずしてロツクアウトを実施したような場合には、使用者は、ロツクアウトの対象となつた労働者に対する賃金の支払義務を免れうるものと解するのが相当である。
2 そこで、右の観点にたつて、本件ロツクアウトが賃金の支払義務を免れしめるものか否かを検討する。
いずれも成立に争いがない乙第一一一ないし第一二四号証、第一二六号証の一ないし三に証人三谷登(ただし、後記信用しない部分を除く。)、同楠島正堂(ただし、後記信用しない部分を除く。)、同北村周平、同森本富明の各証言、申請人茂松延章(ただし、後記信用しない部分を除く。)、同宅宮望(ただし、後記信用しない部分を除く。)、同中山卓也、同中島捷(ただし、後記信用しない部分を除く。)の各本人尋問の結果を総合し、弁論の全趣旨を合わせ考えると、次の各事実が認められる。
三部門は、被申請人の放送業務を扱う中心部門であつて、同部門にストライキがなされた場合に、代替ができないという事態が発生すると放送業務が全く停止することになつて、被申請人としては、著しい損害を被る職種であること、そして、三部門の内テレビ技術部、テレビ進行部の二部門(以下、単に二部門という。)は、いずれも、いわば秒単位の緊張と特殊専門技術を要求される職種であるため、二部門で行なわれるストライキに対処するには、代替要員が右のような専門技術を有する者でなければならないこと、被申請人の職制は、本社事業場で合計三五名位いるが、平常、テレビ技術部は職制三名、組合員一五名、テレビ進行部は職制二名、非組合員一名、組合員一〇名で、それぞれの業務を運行して来ていたので、二部門のストライキが行なわれると、各部門のみの職制では代替が十分にできず、他の部門に若干名代替要員となるべき職制がいるので、その応援を求めるという状態であつたこと、そして、平常、テレビ技術部の職制は社屋二階、テレビ進行部の職制は社屋三階、他部門から応援する職制は各人の職場で、それぞれ固有の職務に従事していたところ、二部門はいずれも社屋四階に設置されているため、二部門で行なわれる指名、部分ストライキに対処し、可及的に電波の停止時間を少なくして放送を継続するためには、あらかじめ社屋四階で待機するか、それぞれの職場から急遽四階までの階段を駆け上らなければならなかつたこと、しかし、職制は、四階で待機することにすると、日常の固有の職務を放棄することになり、また、争議態勢にある組合員をいたずらに刺激するおそれもあるため、原則として、各職場で待機するようにしていたこと、そして、二部門の職制は、五月中旬以降、組合のストライキに対処するため、当時の一日の全放送時間である午前八時一五分から午後一一時一五分ないし三〇分までを、常時、緊張して待機するという日々を続けて来ていたところ、組合が、二部門において、放送終了までのストライキを実施した場合には、引き続き翌日の放送開始時間からストライキを実施する可能性もあるので、職制の中には、その場合に備えて、放送終了後も翌日の放送のための機械調整、修理、営業素材(コマーシヤル用フイルム、スライド、テロツプ、ローテロツプ)の点検、分類、装備、書類の準備等をして、深夜ないし明方近くまで仕事をする者もあつたこと、そして、右のようにして、職制が翌日の放送の準備をしても、組合が翌日の放送開始時間からストライキを実施しないということもあつて、職制は肉体的、精神的に相当疲労して来ていたところ、組合は、前認定のとおり、五月一七日以降、三部門に重点的に指名、部分ストライキを実施する態勢をとつたため、二部門で代替業務に従事して来た職制は、同月一九日当時において、睡眠不足のため、一様に眼が充血し、休息時間も不十分のため、健康を害したり、持病が悪化する者も出て肉体的にも精神的にも限界を訴えるようになり、極度の疲労状態に陥り、同月一七日以降組合が行なつて来た前認定の争議行為が継続すれば、右職制らの体力は、残り一週間とは持続できないような状態に立ち至つていたこと、ところで、当時、昭和四一年三月一九日から同年五月九日までの期間をもつて南国産業大科学博覧会が開催され、その前後において、右二部門の職制の一部(テレビ技術部では二名、テレビ進行部では一名)が、右博覧会関係の事務においても責任者的立場で参画していたため、一層疲労が重なる状態にあつたこと、被申請人のような民間放送企業の営業収入源は、主として、ラジオ・テレビのコマーシヤル放送にあるところ、組合の実施した五月一七日以降の指名、部分ストライキによつて、テレビの放送内容が相当に乱れ、コマーシヤルの放送にも相当影響を及ぼす状態が現出するに至つていたこと、そして、組合は、五月一六日、一七日、一八日の三日間にそれぞれ配布した機関紙において、「今後の戦いは中斗からの指令一本で行動できる」、「更に高度な斗争に入る」、「今後も中斗指令は完全に消化してより強い戦いに発展させて行きましよう」という内容の文言を使用していたため、被申請人は、右各機関紙を検討し、更に、組合のなした昭和四〇年度の争議経過および態様と本件争議経過とを比較検討した結果、本件争議においては、組合が計画的に戦力を温存し、代替要員である職制の疲労を待つて三部門に対し、争議態勢を強化しようとしており、しかも、今後、組合は、従前の指名、部分ストライキ以外に更にステーシヨンブレークのセツテイング操作を拒否する斗争を実施しようとしているものと推測したこと、当時、ステーシヨンブレークのセツテイング操作は一日三〇回行なわれることになつていたが、これが拒否されると、一方では技術的に賃金カツトが困難であり、他方では、放送業務に及ぼす影響が大きいということで、被申請人は、このストライキを重大視していたこと、被申請人としては、従前にも、春季および年末の要求をめぐつて、組合から種々の争議行為を実施されたが、それらの争議行為に対抗してロツクアウトを実施したことは一度もなく、本件ロツクアウトは、初めて実施するに至つたものであること、そして、本件ロツクアウト実施後、被申請人は、他部門からの応援などにより、主として、三部門における放送業務の継続に力を注いだため、他の部門では、その固有の業務の運行が相当渋滞したこと、以上の各事実が認められ、証人三谷登、同楠島正堂の各証言および申請人茂松延章、同宅宮望、同中島捷の各本人尋問の結果中右認定に反する部分は前掲の各疎明と対比して信用できず、他に右認定を覆えすに足りる疎明はない。
そこで、右認定事実に前認定の第二の三(組合のなした争議行為の態様)の各事実を総合して考えると、一方では、組合は、五月二〇日以降においても、三部門に対し、事後通告を含む指名、部分ストライキを反復し、強化する意思を有していたものと認められ、他方、被申請人としては、三部門中特に二部門においては代替業務が十分になされず、その上、代替要員としての職制が相当に疲労して来ていて、代替業務に従事することがますます困難になつて行く情勢に至つていたものと認められるところ、二部門の代替が困難となるとコマーシヤルの放送ができなくなり、被申請人にとつて、主要な営業収入源に影響を及ぼすことになつて、著しい損害を被るおそれが強くなつて来ていたものと推認される。そうすると、右のような事情のもとでは、被申請人としては、三部門に対して組合が実施する指名、部分ストライキによつて発生するおそれのある著しい損害から企業を防衛するため、緊急やむをえない措置として、ロツクアウトを実施したものと認めるのが相当であるから、結局、本件ロツクアウトは、被申請人をして、民法第五三六条第二項の使用者の責に帰すべからざる事由による労務の不受領に該当するものとして、本件ロツクアウトの対象とされた組合員である申請人らに対する賃金の支払義務を免れしめるものであるといわなければならない。
3 本件ロツクアウトの継続について
(一) 本件ロツクアウトは、実施当初において、申請人らに対する賃金の支払義務を免責するものであることは右に認定したとおりであるところ、三、の1において判示した賃金支払義務の免責事由は、当該ロツクアウトの実施当初において存在すれば足りるものであり、ロツクアウトの継続期間中、継続的に存在することを要しないものと解するのが相当である。それは、元来、労使双方が争議行為を実施している場合には、労使の勢力関係が交互に、しかも一時的に優、劣の状態になることがありうるのであるが、このような、浮動的過程につれて、短期間のうちに、賃金支払義務の免責の有無がかれこれ変動するものと解することは、到底妥当な見解とはいえないからである。しかし、ロツクアウト実施の当初において右免責事由が存在するものと認められた場合においても、その後において、労働者が争議行為を中止して就労を要求し、その実現の確実性が存するときには、ロツクアウトが労働者の争議行為に対抗してなされなければならないという前示の本質を有するものであることに鑑み、右要求の時点以後においては、使用者は、もはや、当該ロツクアウトを適法に継続すべき根拠を失い、直ちにこれを中止すべきものと解するのが相当である。
(二) ところで、申請人らは、昭和四一年六月一〇日以降本件ロツクアウトが必要性を欠き違法となつた旨主張するので、右(一)の観点からこれを検討する。
六月一〇日組合と被申請人間に、本件ロツクアウト後初めての団体交渉が開かれたこと、右団体交渉をめぐる前後の事情および右団体交渉の模様については、先に、二の3の(五)において認定したとおりである。そして、右認定事実によれば、右六月一〇日の団体交渉においては、被申請人が準備した協定書案中、「組合は五月二〇日の会社のロツクアウト通告を容認し、且つ無条件で今次争議を終結する」との文言を除く、その余の部分については、組合と被申請人間の見解が一致したものと認めるのを相当とするが、右文言について、組合が被申請人の説明する意味内容では右協定書案を了解できない旨の意思を表明しているので、結局、本件争議は、右団体交渉を一体として考察し、実質的にも妥結したものということはできないものといわなければならない。ところで、被申請人から、右協定書案が提出されることを組合が全く予想していなかつたこと、しかも、右文言の意味内容が組合の到底受諾できないものであつたことに鑑みれば、右文言は、被申請人が、本件ロツクアウトを実施したことによる事後処理の方法を争議妥結の条件に組み入れて解決しようと意図したものと認めるのが相当である。そして、右文言そのものは、本件争議において発生した事項に関するものであるから、右争議の妥結との間に全く関連性がないものということはできないが、右認定のとおり、右文言は、本件ロツクアウト実施の事後処理策にすぎないものであるから、むしろ、実質的には、被申請人から新たな要求事項を提出した場合に比すべきものと考えられ、また、右文言の意味内容についても、必ずしも、本件争議の妥結に際して解決しなければならない事項とも認められないので、後に認定するとおり、六月一〇日の団体交渉当時、組合に争議を中止し、就労する意思があり、その実現の確実性があつたものと認められる以上、被申請人としては、直ちに、本件ロツクアウトを中止すべきであつたと認めるのが相当であり、右文言の解釈取扱いをめぐつて、種々折衝が続けられたことをもつて、本件ロツクアウトが適法性を失わないものということは到底許されないところといわなければならない。そして、組合は、大会の決定にもとづき、右団体交渉の席上において、被申請人の第二次回答を配分案を含めてほぼ全面的に了解する旨申し入れて本件ロツクアウトを中止するよう要求している。右事実は、組合が、争議行為を中止しまたは中止することを明言したものとは認められないが、被申請人の第二次回答をほぼ全面的に了解する旨の意思を表明したことは、組合が、六月一〇日をもつて、本件争議を終結する意思であり、その前提として、当然に、争議行為を中止する意思であつたものと認めるのが相当であり、更に、本件ロツクアウトの中止を要求したことは、組合が、同日をもつて本件争議を終結させて組合員を就労させる意思に出たものと認められるので、結局、組合は、右団体交渉の席上において、争議行為を中止し、就労を要求するという態度を表明したものと解すべきであり、しかも、その実現の確実性も存したものと認めるのが相当である。
なお、同日から六月二一日まで、中村支局勤務の組合員一名が指名ストライキを継続していたこと前認定のとおりであり、またいずれも成立に争いがない乙第一二七号の一ないし三によれば、同月一一日から同月一四日にわたつて、斗争委員である他の組合員の一名が指名ストライキを実施していた事実が認められるので、これらの事実によれば、組合は、同月一〇日当時争議行為を中止する意思ではなかつたようにも一応考えられる。しかし、本件ロツクアウトは、本社事業場勤務の組合員に対して実施されているものであること前認定のとおりであるところ、前掲乙第八九号証に申請人茂松延章の本人尋間の結果ならびに弁論の全趣旨を総合すれば、中村支局勤務の組合員は、当時、組合の執行委員であつたため、組合は、五月二一日以降、同人に執行委員として行動させるために指名ストライキを実施させて来た事実が認められ、他の組合員一名についても、同人は出向社員であつて、前者と同様、斗争委員として行動させる目的で指名ストライキを実施させて来た事実がうかがわれるので、これらの事実とストライキの場所や規模などの点を合わせ考えれば、右両名の実施した指名ストライキは、いずれも、組合の要求を争議行為によつて実現するというほどの積極的な意味内容を有するものではなかつたというべきであり、従つて、同人らが指名ストライキを実施して来たことは、組合が、六月一〇日当時争議行為を中止する意思を有していたものと認めるにつき、何ら支障となるものではないというべきである。また、組合が、六月一五日に提出した夏期一時金要求書中に、同月一〇日の団体交渉において了解したという諸要求の一部を記載していたことは前認定のとおりであり、また、前掲乙第八二号証、申請人茂松延章の本人尋問の結果によれば、組合は、同月二九日に、組合としての協定書案を提示している事実が認められるが、しかし、春季要求と夏期要求とは全く別個の要求であり、また、組合の提示した協定書案は、六月一〇日の団体交渉において問題とされた被申請人側協定書案中の文言に対する組合側の対応案であるところに実質的意味があるものと認められるので、それは、右文言に関する折衝の過程で処理すべき問題であるというべきであり、従つて、いずれも組合が六月一〇日当時争議行為を中止する意思を有していたものと認定するにつき、何ら支障となるべきものではないといわなければならない。
(三) そうすると、被申請人は、六月一〇日をもつて、本件ロツクアウトを中止すべきであつたと認められるので、被申請人が、同月一一日以降本件ロツクアウトを継続したことは違法というべきであり、いずれも成立に争いがない甲第五号証の二二ないし五六に申請人茂松延章の本人尋問の結果を総合し、弁論の全趣旨を合わせ考えれば、組合は、同日以降連日にわたつて、就労の意思を表明し、あるいは就労を要求して来ていることが認められ、右認定に反する疎明も存しないので、結局、同日以降の本件ロツクアウトによる労務の受領拒否は、被申請人の責に帰すべき事由による労務供給義務の履行不能に該当するものというべきであり、被申請人は、民法第五三六条第二項により、組合員である申請人らに対し、賃金の支払義務を免れないものといわなければならない。
四 賃金請求権
申請人らが、六月一一日から八月一二日までの間の賃金請求権を有することは、以上の認定により明らかであるが、六月一〇日の団体交渉において、本件争議が妥結しているものと認められないことも前認定のとおりであるから、申請人らの被申請人に対して請求しうる未払賃金は、申請人ら主張の改訂前の基準内賃金額にもとづいて算出されるものというべきである。そして、別紙(一)賃金表中「賃金」欄記載の各金額は、申請人久光弘祐分を除くその余の申請人らの分については、改訂前の基準内賃金額として、いずれも当事者間に争いがなく(なお、申請人中島捷、同谷邦彦、同茂松延章については、同申請人ら主張の各「改訂前の基準内賃金額」は、被申請人主張の賃金額より少ない。)、申請人久光分については、いずれも成立に争いがない甲第一九号証(ただし石川幸男分を除く。)および乙第一三五号証により、これを認めることができ、他に右認定に反する疎明はない。
そうすると、前記期間の未払賃金は、七月分を月額どおりとし、六月分と八月分は日割計算によつて算出することになるので、右「賃金」欄の各金額に、それぞれ三〇分の六二(六月分が三〇分の二〇、七月分が三〇分の三〇、八月分が三〇分の一二であつて、それらを和したもの)を乗じて算出される金額(別紙(一)賃金表中「認定額」欄記載の金額、ただし円位未満切捨て)となるものである。
第四仮処分の必要性
申請人らが仮処分の必要性として主張する事実は、いずれも被申請人において明らかに争わないので、全てこれを自白したものとみなす。
そして、右事実によれば、申請人らは、本案判決の確定をまつていては私生活上著しい損害を被るおそれがあるものと認められるので、本件仮処分の必要性があるものというべきである。
第五結論
よつて、申請人らの本件仮処分申請については、別紙(一)賃金表中「認定額」欄記載の各金額の限度において理由があるものとして、これを認容し、その余は失当としてこれを却下することとし、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法第八九条、第九二条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 小湊亥之助 岡崎永年 西尾幸彦)
(別紙(一))
賃金表
(単位円)
申請人氏名
賃金
認定額
阿部譲
三七、二七五
七七、〇三五
福井一宏
二五、六七六
五三、〇六三
井上至道
二二、一七七
四五、八三二
(以下三〇名省略)
(別紙(二)省略)
(別紙(三))
組合の争議行為
(1) 本件ロツクアウト前のストライキ(四月一一日から五月一九日まで)
回数
月日
種類
時間(時、分)
通告時間
(時、分)
摘要
人員
延時間
(時間、分)
1
四、一一
全面
一七、〇〇―一九、〇〇
一六、一七
41
八二、〇〇
2
四、一三
〃
一六、五〇―一八、五〇
一六、〇五
67
一三四、〇〇
3
〃
〃
一八、五〇―一九、三〇
一八、四〇
67
四四、四〇
4
四、一五
指名
一五、〇〇―一七、〇〇
一五、一二
事後通告
16
三二、〇〇
5
〃
全面
一七、〇〇―一九、〇〇
一六、五九
46
一三八、〇〇
6
〃
〃
一九、〇〇―一九、三〇
一九、三五
事後通告
46
7
〃
〃
一九、三〇―二〇、〇〇
〃
46
8
四、一八
指名
一六、二〇―一七、〇〇
一六、一〇
2
一、二〇
9
〃
〃
一七、三〇―一九、三〇
一七、二〇
7
一四、〇〇
10
〃
〃
一七、四〇―一八、三〇
一七、三〇
1
、五〇
11
四、二一
〃
一六、四〇―一七、〇〇
一六、三五
17
五、四〇
12
〃
全面
一七、〇〇―二〇、〇〇
一六、五五
52
一五六、〇〇
13
四、二八
〃
一九、三〇―二〇、三〇
一九、二〇
10
四三、〇〇
14
〃
〃
二〇、三〇―二二、三〇
二〇、二七
10
15
〃
〃
二二、三〇―終了
二二、二七
10
16
四、三〇
指名
一三、〇〇―〃
一三、〇二
事後通告
4
一八、三〇
17
〃
〃
一四、三〇―一六、〇〇
一四、二七
18
二七、〇〇
18
〃
〃
一六、〇〇―一七、〇〇
一六、〇二
事後通告
15
一五、〇〇
19
〃
全面
一七、〇〇―終了
一六、五五
42
二九四、〇〇
20
〃
部分
一七、三〇―〃
一七、四二
東京、事後通告
21
五、一
全面
一〇、三〇―一三、三〇
一〇、二四
25
七五、〇〇
22
五、一〇
〃
一二、〇〇―一三、〇〇
一一、四九
22
二二、〇〇
23
〃
指名
一三、〇〇―一四、〇〇
一二、五九
18
一八、〇〇
24
〃
〃
一三、二五―一四、〇〇
一三、二九
事後通告
1
、三五
25
〃
〃
一四、〇〇―一五、〇〇
一四、一五
〃
3
三、〇〇
26
五、一一
〃
一二、〇〇―一三、〇〇
一一、五六
3
〃
27
〃
〃
一二、三〇―一三、三〇
一二、二〇
1
一、〇〇
28
五、一二
〃
一五、〇〇―一五、三〇
一四、四五
17
八、三〇
29
〃
〃
一五、三〇―一七、〇〇
一五、二八
4
六、〇〇
30
五、一三
〃
一六、四五―一八、〇〇
一六、五〇
事後通告
18
二二、三〇
31
〃
全面
一七、一五―終了
一七、一〇
46
三一〇、三〇
32
五、一四
指名
五、三〇―一三、〇〇
五月一六日
九、三五
通告書の日付は五月一三日、
事後通告、七、三〇
1
七、三〇
33
〃
〃
一五、三〇―一七、〇〇
一五、三〇
18
二七、一〇
34
〃
〃
一三、四五―一四、〇〇
一三、四二
18
四、三〇
35
〃
全面
一七、〇〇―終了
一六、五七
39
二七三、〇〇
36
五、一五
〃
五、三〇―〃
五月一四日
二一、二五
31
二四八、〇〇
37
五、一六
指名
一〇、〇〇―一五、〇〇
九、三五
1
五、〇〇
38
〃
部分
一〇、三〇―一五、〇〇
九、四三
三部門
21
九四、三〇
39
〃
〃
一五、〇〇―終了
一五、二四
〃、事後通告
27
二四三、〇〇
40
〃
全面
一七、〇〇―一七、三〇
一六、五五
17
八、三〇
41
五、一七
部分
八、二九―九、三〇
八、二五
二部門
6
六、〇六
42
〃
〃
九、〇〇―一七、〇〇
八、五七
営業管理
6
四八、〇〇
43
〃
〃
一七、〇〇―一七、三〇
無通告
5
二、三〇
44
〃
指名
一一、〇〇―一九、〇〇
一一、二〇
事後通告
1
八、〇〇
45
〃
部分
一三、〇〇―一五、〇〇
一三、〇〇
二部門
15
三〇、〇〇
46
〃
指名
〃
一三、〇八
事後通告
1
二、〇〇
47
〃
部分
一八、五四―一九、〇〇
一八、五七
二部門、ステプレコマーシ
ヤルさしかえ、事後通告
10
一、〇〇
48
〃
指名
二一、二九―終了
二一、三三
マスターデイレクター
事後通告
1
二、〇一
49
〃
部分
二二、〇〇―〃
二二、〇三
二部門、事後通告
5
六、三〇
50
五、一八
指名
四、五〇―九、〇〇
四、五〇
1
四、五〇
51
〃
〃
六、〇〇―一〇、〇〇
六、〇〇
1
四、〇〇
52
〃
部分
九、〇〇―一七、三〇
九、二六
営業管理、事後通告
6
五一、〇〇
53
〃
〃
一〇、〇〇―一二、〇〇
一〇、〇八
テレビ進行、〃
5
一〇、〇〇
54
〃
〃
一〇、三〇―一二、〇〇
一〇、二九
〃
2
三、〇〇
55
〃
指名
一二、〇〇―一五、〇〇
一一、五九
1
〃
56
〃
部分
一三、一二―一五、〇〇
一三、一〇
二部門
15
二七、〇〇
57
〃
〃
一八、一五―一九、〇〇
一八、一七
二部門、報道、事後通告
11
八、一五
58
〃
指名
一九、〇〇―二〇、〇〇
一八、五七
4
四、〇〇
59
〃
部分
二一、三〇―終了
二一、三一
二部門、事後通告
5
一〇、〇〇
60
五、一九
〃
八、二九―九、〇〇
八、三五
〃〃
6
三、〇六
61
〃
〃
九、〇〇―一七、三〇
九、四二
営業管理、〃
5
四二、三〇
62
〃
〃
一三、一五―一三、三〇
一三、一六
二部門、〃
15
三、四五
63
〃
〃
一三、五九―一四、三〇
一四、〇一
〃、〃
13
六、四三
64
〃
全面
一七、〇〇―一七、四五
一七、〇六
事後通告
35
二六、一五
65
〃
部分
二〇、〇二―二〇、〇七
二〇、〇三
二部門、事後通告
6
、三〇
(2) 本件ロツクアウト後のストライキ
回数
月日
種類
時間(時、分)
通告時間
(時、分)
摘要
人員
延時間
(時間、分)
66
五、二〇
指名
九、〇〇―一七、三〇
八、四八
出向社員
4
三四、〇〇
67
〃
部分
〃
〃
東京、高松、中村
11
九三、三〇
68
五、二一
指名
〃
五月二三日
一八、〇五
中村(武市)、事後通告
1
八、〇〇
69
五、二三
〃
九、三〇―一七、三〇
五月二四日
一〇、三〇
出向社員、〃
2
一六、〇〇
70
〃
〃
九、〇〇―一七、〇〇
一八、〇五
中村(武市)、〃
1
八、〇〇
71
五、二四
〃
〃
1
〃
72
〃
〃
九、三〇―一七、三〇
一七、三〇
出向社員、事後通告
2
一六、〇〇
73
五、二五
〃
〃
一三、五五
〃〃
2
〃
74
〃
〃
九、〇〇―一七、〇〇
中村(武市)
1
八、〇〇
75
五、二六
〃
〃
〃
1
〃
76
〃
〃
九、三〇―一七、三〇
一七、二二
出向社員、事後通告
2
一六、〇〇
77
五、二七
〃
〃
五月二八日
一五、一七
〃〃
2
〃
78
〃
〃
九、〇〇―一七、〇〇
中村(武市)
1
八、〇〇
79
五、二八
〃
〃
〃
1
〃
80
〃
〃
九、三〇―一七、三〇
二〇、〇五
出向社員、事後通告
2
一六、〇〇
81
五、二九
〃
〃
一四、四五
〃〃
2
〃
82
五、三〇
〃
〃
一四、一〇
〃〃
2
〃
83
〃
〃
九、〇〇―一七、〇〇
中村(武市)
1
八、〇〇
84
五、三一
〃
〃
〃
1
〃
85
〃
〃
九、三〇―一七、三〇
六月一日
一五、三〇
出向社員、事後通告
2
一六、〇〇
86
六、一
〃
〃
六月二日
一四、五〇
〃〃
2
〃
87
〃
〃
九、〇〇―一七、〇〇
中村(武市)
1
八、〇〇
88
六、二
〃
〃
〃
1
〃
89
〃
〃
九、三〇―一七、三〇
一四、五〇
出向社員、事後通告
2
一六、〇〇
90
六、三
〃
〃
一五、二五
〃〃
2
〃
91
〃
〃
九、〇〇―一七、〇〇
中村(武市)
1
八、〇〇
92
六、四
〃
〃
〃
1
〃
93
〃
〃
九、三〇―一七、三〇
一五、一五
出向社員、事後通告
2
一六、〇〇
94
六、六
〃
〃
一四、四〇
〃〃
2
〃
95
〃
〃
九、〇〇―一七、〇〇
中村(武市)
1
八、〇〇
96
六、七
〃
〃
〃
1
〃
97
〃
〃
九、三〇―一七、三〇
一五、三〇
出向社員、事後通告
2
一六、〇〇
98
六、八
〃
〃
一七、二〇
〃〃
2
〃
99
〃
〃
九、〇〇―一七、〇〇
中村(武市)
1
八、〇〇
100
六、九
〃
〃
〃
1
〃
101
〃
〃
九、三〇―一七、三〇
一七、二〇
出向社員、事後通告
2
一六、〇〇
102
六、一〇
〃
〃
一七、〇〇
〃〃
2
〃
103
〃
〃
九、〇〇―一七、〇〇
中村(武市)
1
八、〇〇
104
六、一一
〃
〃
〃
1
〃
105
〃
〃
九、三〇―一七、三〇
一六、二〇
〃事後通告
1
〃
106
六、一三
〃
〃
一五、〇〇
〃〃
1
〃
107
〃
〃
九、〇〇―一七、〇〇
〃
1
〃
108
六、一四
〃
〃
〃
1
〃
109
〃
〃
九、三〇―一七、三〇
一五、五〇
〃事後通告
1
〃
110
六、一五
〃
九、〇〇―一七、〇〇
〃
1
〃
111
六、一六
〃
〃
〃
1
〃
112
六、一七
〃
〃
〃
1
〃
113
六、一八
〃
〃
〃
1
〃
114
六、二〇
〃
〃
〃
1
〃
115
七、二〇
〃
〃
高松(安藤)、無通告
1
〃
116
七、二一
〃
〃
〃〃
1
〃
以上